「ライブ配信」と「Eコマース」を組み合わせた最先端のマーケティング手法である「ライブコマース」。ライブ配信を通じて商材を宣伝し、そのままインターネット上で購入することができます。
2016年に中国で誕生し、新型コロナウイルスの流行による追い風も受け、急成長しました。現在、このライブコマースの波は韓国にも広がりを見せており、多くの企業がこの新しいマーケティング手法を取り入れています。そんな韓国のライブコマースの事例から導入のメリットや効果を読み解いていきます。
作成日:2024.09.02
更新日:2024.09.19
目次
- ◯ライブコマースとは
- ◯韓国のEC市場
- ◯韓国のライブコマース市場
- ◯韓国のライブコマーススタートアップ企業
- ・Grip company
- ・mobidoo
- ◯韓国のライブコマース成功事例3選
- ・OLIVE YOUNG
- ・Kurly
- ・Samsung
- ◯韓国のライブコマースにおける課題
- ◯対韓国越境ECにおすすめの商品
- ◯さいごに
ライブコマースとは
ライブコマースとは「ライブ配信」と「Eコマース」を組み合わせた最先端のマーケティング手法です。
ライブコマースには、販売促進や販路拡大、効果的な分析が可能になるなどのメリットがあります。
日本でも注目が高まってきていますが、今回は、活用が進んでいる韓国のライブコマースの実態をご紹介します。
韓国のEC市場
そもそも、韓国は日本よりもEC利用率が高く、ライブ配信により商品紹介は消費者の注目を集め、売上向上に寄与しています。EC小売市場規模で比較してみると、市場規模は主要国内5位ですが、ECの割合は29%で主要国内3位と、シェアが拡大しています。また、日本では新型コロナウイルスの流行が収まった後、EC売上高の成長は鈍化しましたが、韓国では今後も上昇し、その推計値は約39%と中国に次いで世界2位になると予想されています。
※参照:ジェトロ
その利用率の高さにはインターネットやキャッシュレス決済の普及率が関係しています。
2023年において、日本のインターネット利用率が86.2%であったのに対し、韓国では93%でした。また、2021年キャッシュレス比率は、日本が32.5%であったのに対して韓国は93.6%と、世界最高水準のキャッシュレス大国です。韓国では、個人番号制度が普及し、この番号がクレジットカードにも紐づくことが基盤となってクレジットカードの利用が拡大しました。1997年にはアジア通貨危機を受け、実店舗の脱税防止や消費活性化を目的に、経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」を設けました。クレジットカードの利用促進策が実施された結果、クレジットカード決済が増加し、キャッシュレス決済比率の上昇に繋がりました。
このようにインターネット利用率やキャッシュレス比率が非常に高い韓国では、インターネットが生活に浸透しており、EC市場も拡大しました。また、EC利用者も10代から50代までは全て75%以上と、多くの国民が利用しており、その年齢層も幅広いです。
韓国のライブコマース市場
EC化率が進む中で拍車をかけているのがライブコマースです。LINEを開発した韓国の主要インターネットサービス企業であるNAVERは、2020年に2四半期連続で過去最高の売上高を記録しました。その要因の一つとして、新型コロナウイルスの影響でEC事業が拡大したことが挙げられます。ライブコマース事業の強化がEC事業の拡大に繋がったと考えられます。韓国におけるライブコマースの成功事例はその効果と可能性を証明しており、今後もこのトレンドが広がっていくと期待されています。
※参照:Statista
韓国のライブコマーススタートアップ企業
・Grip company
※出典:App Store (https://apps.apple.com/kr/app/%EA%B7%B8%EB%A6%BD-grip/id1446689861?mt=8)
自社ECサイト中心のコマースと、InstagramやTikTokなどのコンテンツを組み合わせたEC戦略をサポートしています。
ライブコマースプラットフォーム「Grip」、SaaS型ライブコマースサービス「Grip Cloud」、ライブコマースにおけるMCN(マルチチャンネルネットワークサービス)「GripONE」など、幅広いライブコマースソリューションを提供しています。
・mobidoo
※出典:sauce (https://sauce.im/en)
基本的なライブコマースソリューション「Sauce Live」に加え、ショートビデオ型ソリューション「Sauce Clip」、リアルタイムで広告を選択・配信する「Sauce Ad」など、ライブコマースのための総合的なソリューションを提供しています。
・その他のライブコマース関連企業
- NAVER
- Kakao
- Coupang
- MUSINSA
- Wooma
- Brothers
- CV3
- CJ ONSTYLE
- 29cm
- Kurly
- Live Commerce
韓国のライブコマース成功事例3選
OLIVE YOUNG
韓国初のライブコマース企業「Grip Company」が提供する「Grip Cloud」を活用して配信しています。
同社は「オルヤングLive」というタイトルで週5回の定期配信を行い、多彩な見どころや特典を提供しました。セールや新商品を紹介する企画や、ゲーム機能を活用した参加型動画を配信し、顧客体験を最大化したことで、ログイン視聴率・平均視聴時間・売上が増加しました。
OLIVE YOUNGのライブコマース戦略は、顧客とのエンゲージメントを深めるための効果的な手段となっています。定期的な配信で常に新しいコンテンツを提供し、リピーターの獲得にも成功しています。韓国のヘルス&ビューティー業界におけるライブコマースの先駆者として、OLIVE YOUNGの戦略は今後のトレンドを先取りしています。新しい顧客体験を提供し続けることで、ブランドの認知度と顧客ロイヤルティを高め、業界でのリーダーシップを維持しています。
Kurly
こちらもOLIVE YOUNG同様、「Grip Cloud」を活用しています。
同社は、ライブコマースの活用も、Market Kurlyの成功に大きく寄与しています。具体的には、産地直送の魅力を伝えるための現地からの配信や、高級ブランド商品の独占販売を記念した配信を行いました。その結果、同時に最大10万人が視聴し、商品の売り切れやファンの増加にも繋がりました。
Market Kurlyの取り組みは、今後のEC業界における新たなトレンドを示すものです。高品質な商品をスピーディに届けるだけでなく、効果的なライブコマース戦略で消費者とのエンゲージメントを深めることで、さらに成長が期待されます。これからも注目のオンラインショップとして、ますますの進化が期待されることでしょう。
Samsung
定期的なライブ配信と詳細なデータ分析を通してデジタルマーケティングの効率化で成功を収めました。この戦略により売上高が増加し、2023年には前年比2倍の売上を達成しました。
ライブコマースによってSamsungは購買促進だけでなく、詳細なデータ分析により、視聴者の行動や反応を把握し、マーケティング戦略の精度を高めています。Samsungの成功事例は、ライブコマースがいかにしてデジタルマーケティングを効率化し、企業の成長に寄与できるかを示す一例です。今後のマーケティング戦略に置いても、ライブコマースの活用が重要な要素となることが予想されます。
韓国のライブコマースにおける課題
韓国のEC市場、ライブコマース市場が拡大する中、Temu、SHEIN、AliExpress等の中国ECが急成長し、韓国のEC業界には焦燥感が広がっています。中国ECは低価格、低手数料、豊富な商品ジャンルという特徴から高い人気を集めています。しかし、一部の商品では、有害物質の検出や個人情報の流出などの問題が報告されており、消費者の不安を招いています。これらの問題に対処するための解決策としてライブコマースが注目されています。ライブコマースの双方向コミュニケーションにより、消費者に対して商品情報の伝達や理解を促進することが可能になりました。高品質な韓国産商品の差別化を図る手段として、ライブコマースは大いに期待されています。
対韓国 越境ECにおすすめの商品
韓国のECで人気が高いのは、食品・飲料、家電・通信機器、衣類、化粧品です。
※参照:statista
※単位:10億ウォン
韓国人消費者の日本商品の購入においても、その傾向が現れています。例えば飲料では、韓国で2023年に日本から輸入されたビールは日本円にして82億円で、国別で1位になりました。
また、訪日韓国人が日本で購入した上位3商品は菓子類、医薬品、衣類で、オンラインでもオフラインでも食品や衣類が人気だということがわかります。
一方で、韓国から日本に向けてライブコマースを行う”逆越境EC”という手法もあります。
ライブコマース事業や動画制作等を展開する株式会社Candeeは、日本で韓国ファッションの人気が高まっていることを背景に、逆越境ECを実施しました。韓国でアパレル事業や中国向けのライブコマースを展開する、株式会社CHUNIL NETWORKSと共同で企画・配信を行っています。少女時代のスタイリストや、テラスハウスの出演者が出演し、韓国の東大門から日本に向けて韓国ファッションの最新トレンドを配信しました。
ライブコマースを活用したミレニアル世代向けのファッションマーケティングを強化した一例となっています。韓国の最新ファッショントレンドを日本の消費者に伝えることで、国境を越えた新たなマーケットへのアクセスを拡大しました。
さいごに
近年、新しいマーケティング手法として注目されているライブコマース。韓国でもEC化率の上昇を背景に、ライブコマース市場が拡大しています。国内に実店舗がない商品や、ECだけでは商品情報がよくわからない商品でも、ライブコマースを活用することで購買体験を向上させることが期待できます。
ライブコマースに関するお悩みを解消するため、弊社、株式会社ライズアースではライブコマースをトータルサポートしております。「ライブコマースを導入したい」、「ライブコマースで成果を出したい」という企業様は、お気軽にご相談ください。