日本におけるライブコマースの現状とは?ECからライブコマースまで、日本のオンラインショッピング事情を一挙解説!

日本におけるライブコマースの現状とは?ECからライブコマースまで、日本のオンラインショッピング事情を一挙解説!

中国を筆頭に世界中で活用が進んでいるライブコマース。日本でも注目が集まっていますが、その実態はどのようなものなのでしょうか?本記事では日本のライブコマースの現状について解説します。

作成日:2024.12.16



目次






ライブコマースとは


ライブコマースとは「ライブ配信」と「Eコマース」を組み合わせた新しい販売手法です。中国で誕生し、新型コロナウイルスの流行も相まって世界中で活用されており、特に中国などのアジア諸国や南米で拡大しています。

日本でも数々の有名企業が活用し成功を収めており、様々なライブコマースプラットフォームやツール、サービスが誕生しています。




海外のライブコマースの現状


中国のライブコマース

中国のライブコマース市場は、ライブコマース元年と言われる2016年から139%のCAGR(年平均成長率)で急速に成長し、2024年には約100兆円に到達すると予想されています。

「KOLの存在」

中国では2015年に大手ECプラットフォームが初めて放送機能をローンチし、有名モデルを起用してトライアル的に実施した化粧品のライブ販売が成功を納めて以来、Key Opinion Leader(キー・オピニオン・リーダー、以下KOL)を活用したライブコマースに注目が集まりました。KOLとは商品の販売促進に影響力を持つ人のことです。

こうしたKOLは化粧品や食品、家電など、それぞれのファンの属性とマッチする領域の商品の販売に強みを持っており、数時間のライブコマースで売上が数億元に達することもあります。

また、初期のKOLの販売スタイルは商品紹介をメインとしていましたが、昨今では若年層向けのエンターテイメント型や、高収入女性向けのリラックス型など、様々な販売スタイルが登場し、視聴者に合わせたライブコマースを行っています。

参照:pwc、中国におけるライブコマースの変遷

(https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/globalization-for-rc/vol04.html)




アメリカのライブコマース

アメリカのライブコマースにおける売上は、2022年に約200億ドル(約2兆6,000億円)、2023年に約500億ドル(約6兆5,000億円)と、2026年には約680億ドル(約8兆8,500億円)まで増加すると考えられています。

現在、アメリカはヨーロッパやラテンアメリカ諸国と比較するとライブコマースの利用者は少ないですが、1人当たりの平均支出額を比較すると、これらの国よりも高い数値となっており、今後の市場の拡大が予想されています。




韓国のライブコマース

韓国では2023年、ライブコマースにおける収益が10兆ウォン(約1,1兆円)となり、新型コロナウイルスが流行した2020年からのわずか3年で約25倍の拡大を見せています。

韓国はインターネット利用率やキャッシュレス比率が非常に高く、インターネットが生活に浸透しており、EC市場やライブコマース市場が拡大しています。

韓国の主要インターネットサービス企業であるNAVERがライブコマース事業を強化したり、様々なライブコマースサービスのスタートアップ企業が誕生するなど、ライブコマースはますます成長していくことが考えられます。





日本のオンラインショッピングの現状


ライブコマースの活用が進む要因として、オンラインショッピングの利用が大きく関係しています。

総務省のインターネットを利用したサービスの利用状況調査によると、普段利用しているインターネットサービスの内、最も利用されているのはインターネットショッピングでした。

(※グラフ1)

また、インターネットショッピングを利用する世帯の割合は年々上昇しており、インターネットショッピングが日常生活に浸透していることがわかります。

(※グラフ2)


グラフ1

参照:総務省情報通信白書

(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111110.html)



グラフ2

参照:統計局家計消費状況調査(https://www.stat.go.jp/data/joukyou/2023ar/gaikyou/pdf/gkall.pdf)





ネットショッピングの利用者が増加している理由とは?


では、なぜネットショッピングを利用する人が増えているのでしょうか?

日本人がネットショッピングを選択する際、主に以下の理由が挙げられています。

ネットショッピングを利用する理由

・実店舗に出向かなくても買い物ができる
・24時間いつでも買い物ができる
・実店舗よりも安く買える
・実店舗よりも品揃えが豊富
・実店舗に行く時間を節約できる



一方で、ネットショッピングを選択しない人も一定数おり、その理由がこちらです。


ネットショッピングを利用しない理由

ネットショッピング事業者の信頼性が低い
ショッピングサイトへの登録が面倒
決済手段のセキュリティに不安がある
実店舗で実物をみたり触ったりして購入したい
今すぐ欲しい商品の購入には実店舗の方が便利





ネットショッピングでよく購入される商品は?


出典:総務省情報通信白書(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n3200000.pdf)


上の表は、総務省の「実店舗よりもネットショッピングで購入する商品」についてのアンケートから筆者が作成したものです。

日本人のネットショッピングは海外諸国と比較し、大型よりも小型の商品を買う傾向があります。また、実際に見たり触れたりしなくても商品の情報がある程度わかるものがよく売れています。





オンラインショッピングの課題はライブコマースで解決


ネットショッピングを利用しない人のうち、「ネットショッピング事業者の信頼性が低い」「実店舗で実物をみたり触ったりして購入したい」「今すぐ欲しい商品の購入には実店舗の方が便利」などの理由に対しては、ライブコマースで解決できる見込みがあります。

ライブコマースはリアルタイムで配信者と視聴者がコミュニケーションを取ることができるため、要望に応えたり疑問を解消したりすることで信頼性を高めることができます。また、実際に使ってみて使用感を伝えたり、使用後の感想を伝えることで実店舗にも引けを取らないショッピングができますし、ライブコマースプラットフォームを活用すればライブを見ながら即座に購入することができます。





日本のライブコマースの現状

日本のライブコマース市場規模


日本でも新型コロナウイルスの流行を契機にeコマース市場が拡大しています。

国内のBtoCのEコマースにおける市場規模は2023年時点で14兆6,760億円であり、この10年で約8兆円増加しています。

また、ライブコマース事業を強化している企業もあり、様々なライブコマースプラットフォームやサービスが登場しています。ECにおけるライブコマースの利用が進み、ライブコマース市場は今後ますます成長していくと予想されています。

以下のグラフは、月に1回以上オンラインショッピングをする人を対象にした調査で、ライブコマース購入経験者の割合を示しています。

これを見ると、日本は他国と比較しまだまだライブコマースの利用が進んでいないということがわかります。

参照:statista(https://www.statista.com/statistics/1341653/live-commerce-adoption-by-country/)



以下のグラフは、日本人のライブコマースにおける購入意思、つまり、ライブコマースで紹介された商品を購入したいと思うかどうかについての調査結果です。

「どちらでもない」が大多数で、購入に踏み切る人が少ない傾向にあります。日本のライブコマースはまだまだ改善の余地があり、「購入したい」と思わせるような工夫が必要であることがわかります。


参照:statista(https://www.statista.com/statistics/1089064/japan-intention-using-live-commerce/)





日本のライブコマース配信者(ライブコマーサー)の現状


現在日本には、中国のKOLのようなライブコマースの高い専門性や強い影響力のある配信者がいません。短期間で数億円の売上を達成するようなKOLがいないことが、日本においてライブコマースの爆発的な拡大が起こらない要因とも考えられます。

しかし、インフルエンサーのプロモーションにより売上が増加している商品もあります。特にアパレル業界でインフルエンサーの影響が強く現れており、続いて食品・飲料業界や、家具などのインテリア業界もインフルエンサーのプロモーションによる大きな効果が見られています。


参照:statista

(https://www.statista.com/statistics/1315817/japan-product-purchase-influencer-marketing-by-category/)





日本のライブコマースツール・プラットフォーム


日本のライブコマースで、利用率が高いSNSは、YouTubeです。SNSは利用者が多く、インフルエンサーを活用してライブコマースを行う場合や集客力のあるライブコマースを行う場合に適しています。

その他にもライブコマース専用アプリも活用されており、これらのアプリではライブ配信から購入までをスムーズに完結することができ、よりコンバージョン率の高いライブコマースを行うことができます。


参照:statista(https://www.statista.com/statistics/1290099/japan-popular-live-commerce-services/)





日本でライブコマースを成功させるには?


実店舗でのショッピングに慣れ親しんでいる日本の消費者は、オンラインショッピングの利用が進みつつも、実店舗での買い物を好む人が多くいます。日本人の特徴として、欲しい商品に応じて実店舗やオンラインなど購入チャネルを変えたり、プロセスが複雑な場合、オンラインショッピング自体を放棄したりしてしまうことがあります。

オンライン空間での消費者の嗜好に合わせたデジタル戦略を策定することが、日本のeコマース市場においてこれまで以上に重要になっています。





ライブコマースの重要なポイント


それでは、どのような戦略が必要なのでしょうか?

以下のグラフは、ライブコマース事業者によるライブコマースの配信における重要なポイントを示しています。

コンテンツやプラットフォームが最重要ポイントとして挙げられていますが、配信時間・配信者・視聴者とのコミュニケーションの項目も大差はないため、これらのポイントを網羅する必要があることがわかります。


参照:statista(https://www.statista.com/statistics/1381945/japan-important-aspect-live-commerce-service/)






さいごに


本記事では日本のライブコマースの現状について解説してきました。世界中で活用が進むライブコマースですが、日本でも注目が集まっています。日本におけるライブコマースの規模は大きいとは言えないのが現状です。しかし、日本のライブコマースは今後拡大していくことがされ、日本人の消費者に向けた独自の戦略が必要となるでしょう。

効果的なライブコマースを行うための戦略は様々な側面を考慮する必要があります。株式会社ライズアースではライブコマースがはじめての方や、ライブコマースに関する課題をお持ちの方をトータルサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。